瓶ヶ森林道(No.078)
さえぎるもののない石鎚山脈の尾根道をゆく。
西日本の最高峰、標高1982mの石鎚山に源を発する仁淀(によど)川は、ゆったり蛇行を繰り返しながら土佐湾へ注いでいく。吉野川、四万十川に次ぐ四国第3の一級河川である。
四国の清流といえば、誰もがまず思い浮かべるのは四万十川。本流にダムがひとつもないことから「最後の清流」とも呼ばれている。ただし、水質測定法のひとつであるBOD(生物化学的酸素要求量)の検査結果で比べてみると、仁淀川は四万十川の値を上回 る。つまり「最後の清流」よりもさらに水がきれいな川なのだ。
仁淀川は高知県から愛媛県に入ると面河(おもご)川と名を変え、さらにさかのぼると面河渓に着く。そこから石鎚スカイラインを駆け上り、石鎚山頂をかすめるように東へ進んでいくと、いよいよ瓶ヶ森林道の始まりだ。
高知/愛媛の県境ラインをなぞるように、瓶ヶ森、西黒森、伊予富士といった標高1800m前後の峰づたいに進む道は息を呑む絶景が続く。さえぎるもののない稜線からは、幾重にもひだを重ねながら、遙かに広がる四国山地の山並みを一望。北側の視界が開けるところでは、瀬戸内海やそこに浮かぶ島々まで遠望することができる。
未確認飛行物体の目撃情報が多いため、この道はUFOラインとも呼ばれているが、これだけ空が大きいと、UFOのひとつやふたつ飛んでいても不思議ではないような気がしてくる。
ご当地情報
A:石鎚スカイライン
石鎚山の山頂めざし一気に駆け上がる山岳路
国道494号との分岐から面河渓入口を抜け、山頂近くの石鎚山・土小屋へと一気に駈け上がっていく西日本有数の山岳ワインディング。かつては有料道路だった道(1995年から無料開放)だけに、走りと景観の素晴らしさを存分に楽しむことができる。途中の展望駐車場からは、仁淀川の水源のひとつ、御来光の滝を見ることもできる。
●正式名称:県道12号西条久万線/区間距離28km/冬季閉鎖12月-3月/Tel:0892-21-1 192(久万高原町観光協会)
B:面河渓・五色橋
面河川ブルーが流れる西日本有数の景勝地
石鎚山の南麓に位置する面河渓は、「面河川ブルー」と呼ばれる澄み切った水の流れる渓谷。なかでも天然林に囲まれ、奇岩がそそり立つ五色橋周辺は、多くの人が訪れる人気のスポットとなっている。面河川ブルーに輝く水の美しさは格別で、思わず飛び込みたくなるほど。実際、夏の間は涼を求めて五色橋からダイブする人も多い。
●久万高原町若山/℡0892-21-1192(久万高原町観光協会)
ご当地情報
C:ふるさと食堂
はらわたまで美味しい面河川のアユ
国道494号沿いにある仕七川(しながわ)小学校。その隣で昔ながらのたたずまいで営業しているふるさと食堂では、初夏から秋にかけ、面河川で獲れるはらわたまで美味しい絶品のアユを堪能することができる。塩焼きのほか、定食類中華そばなども用意。店の前には見事な藤棚もある。藤の満開時期は例年4月下旬から5月上旬。
●9:00-17:00/不定休/久万高原町東川1-191/℡0892-57-0327
D:中津渓谷ゆの森
大人の隠れ家のような渓谷の静かな温泉宿


仁淀川の支流のひとつ、中津川の美しい渓谷沿いに建つ一軒宿。自慢の温泉は、内湯/露天とも渓谷の眺めがすばらしく、ゆったりした気分で旅の疲れを癒やすことができる。夕食は、彩りも美しい和食膳、もしくは季節の素材をたっぷり用いたフレンチフルコースからチョイス。本館から少し離れて建つ、静かなコテージもある。
●1泊2食付13,600円-(平日)/素泊まり6,800円-/日帰り入浴650円(11:00-21:00)/火曜休館/仁淀川町名野川258-1/Tel:0889-36-0680
瓶ヶ森林道
◎正式名称/いの町道瓶ヶ森線
◎区間距離/27km(寒風山-県道12号交点)
◎冬季閉鎖/12月-4月
◎撮影時期/7月上旬
アクセスガイド
瓶ヶ森林道の東側起点、国道194号・寒風山トンネル(旧道)までは、松山道・いよ西条ICから32km。西側起点となる石鎚スカイライン終点までは、松山市の中心部から約80km。地図では松山道・川内ICから国道494号経由が近そうに見えるが、この道は相当な酷道なので避けた方が無難。瓶ヶ森林道・よさこい峠からは県道40号で高知県いの町方面に抜けることもできる。
観光情報
いの町観光協会 Tel:088-893-1211
仁淀川町商工観光係 Tel:0889-35-1083
久万高原町観光協会 Tel:0892-21- 1192
文:佐々木 節/写真:平島 格
投稿 旅心をかき立てる道。絶景ドライブ100選「瓶ヶ森林道(愛媛県/高知県)」 は CARSMEET WEB に最初に表示されました。